日食工会長 2022 年頭所感

一般社団法人
日本食品機械工業会
会長 海内栄一

皆様明けましておめでとうございます。令和4年(2022年)の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
はじめに、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が低位で推移しており、ワクチン、PCR検査、治療薬等の普及により、一刻も早い収束を切望しております。

さて、昨年の国内景気については、新型コロナウイルスの感染拡大により、断続的に緊急事態宣言が発令され、経済活動は停滞、景気浮揚の切り札ともされた東京オリンピック・パラリンピックは大部分が無観客での開催となり、経済波及効果としては期待外れに終わりました。年後半はワクチン接種が進んだことで、感染者数は減少、9月30日をもって緊急事態宣言は解除され、経済活動再開に向けた動きも加速し、景気回復の兆しも見え始めました。国外の情勢では、欧米を中心に一時的に制限の緩和が広がったものの、再再度の急激な感染者増加がみられる一方、消費活動の正常化は進展しつつもパンデミックの長期化によって、生産と消費のバランスが崩れ、サプライチェーンリスクが顕在し、世界的な物資不足が課題となっております。
こうした国内外の動向の中、我が国食品機械の販売額は、機種によって異なるものの全体では前年を下回る見込みとなっております。今後の社会情勢も依然予断を許さない状況が続く見込みであり、企業経営に関しては多くの会員の方々が厳しい見解を持っておられます。

食品産業全体としては、HACCPに沿った衛生管理制度の完全義務化に基づく食の安全性の確保、脱プラスチックやフードロス問題、消費者ニーズの多様化高度化への対応、深刻化する人手不足、原材料・物流費の高騰など様々な課題を抱えています。一方、世界的な人口増加に伴うタンパク源不足、食品製造・流通に伴う環境負荷の増大、健康意識の高まり、デジタル技術の台頭などの理由によって、食の新しい産業としてフードテックが注目を集め、市場の拡大が予測されております。
食品機械業界としては食品製造現場のニーズに対応し、衛生性を完備したロボット技術、AI、IoT技術等先進技術を活用した食品機械の高度化、自動化に取り組んでいるところです。これからもユーザー業界の課題解決に貢献できるように積極的に事業を推進してまいります。
また、当工業会では、時代の潮流を見据えながら、食品機械の安全・衛生化の推進、国際化への対応、人材育成などに積極的に取り組み、会員各位の経営力強化、事業の発展に向けて各種事業を展開していくことで、ユーザー業界の期待に応えてまいる所存であります。

本年は6月7日から4日間「Restart FOOMA」をテーマに掲げ、「FOOMA JAPAN 2022」を開催いたします。45回目を迎えるFOOMA JAPAN 2022は3年ぶりに東京ビッグサイトで開催することとなりました。さまざまな情報を提供するFOOMAアプリの導入、優れた研究開発の成果を表彰するFOOMAアワードの創設、オープンイノベーションの一環としてスタートアップゾーンを新設するなど出展価値を向上させる新たな取り組みを実施してまいります。「食の安全・安心」を中心課題としつつ、生産性向上や高効率化のための技術、自動化、省人化を図るロボット技術など最先端のテクノロジーと最新鋭の製品やシステムの展示を通じて、食品産業全体の一層の発展に寄与していく所存です。

最後に、当工業会は一丸となって、引き続き食品機械工業会の発展を通じて、食品製造業界の生産性向上、国民の食生活の豊かさに貢献してまいる所存であります。