日食工会長 2021 年頭所感

一般社団法人
日本食品機械工業会
会長 海内栄一

皆様明けましておめでとうございます。令和3年(2021年)の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
はじめに、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に対し謹んでお悔み申し上げるととともに、罹患された方々には心よりお見舞いを申し上げます。そして新型コロナウイルス感染症の終息の目途がつかない状況の中、献身的に職務に従事されている医療関係者の皆様には心から敬意を表させていただきます。

さて、昨年の国内景気については、上期は緊急事態宣言の発令に伴う外出自粛や店舗休業、営業時間短縮などにより経済活動が大きく制限され、さらに海外経済の急激な悪化から輸出は大幅に減少し、入国規制によるインバウンド需要の消失等、GDPは戦後最大の落ち込みになりました。下期はやや早急とも思える政府のGOTOキャンペーン等の経済活動支援により一時的に回復の兆しがあったものの感染拡大が再燃し、先行き不透明な状況となっております。国外の情勢も、全世界でコロナ禍が拡大し欧州各国ではロックダウンに追い込まれ、日本以上に厳しい状況となりました。
こうした国内外の動向の中、我が国食品機械の販売額は、機種によって異なるものの全体では前年をわずかに上回る見込みとなっておりますが、今後の社会情勢によっては予断を許さない状況であり、企業経営に関しても多くの会員の方々が厳しい見解を持っておられます。

食品産業全体としては、食品衛生法改正により食の安全性の確保、食品ロスや包装資材等の環境問題、消費者ニーズの多様化高度化への対応、深刻化する農業分野や製造加工分野での人手不足、原材料・物流費の高騰など様々な課題を抱えています。新型コロナウイルス感染症の影響により、食生活の変化、デジタル化の急速な進展等ライフスタイルは大きく変化し、外食産業の縮小化が影響し余剰人員の発生や高級食材の余剰化などを引き起こし、新たな対応策を求められております。
感染症リスクの低減化を目標とした自動化・省人化は食品製造現場への喫緊の課題となっています。食品機械業界としては食品製造現場のニーズに対応し、衛生性を完備したロボット技術、AI、IoT技術等先進技術を活用した食品機械の高度化、自動化に取り組んでいるところです。昨年、当工業会ではユーザー業界・関係諸官庁等のご協力を得てIoT推進委員会を立ち上げ、食品製造ラインにおけるIoT共通基盤の構築に向けた検討を開始したところですが、これからもユーザー業界の課題解決に貢献できるように積極的に事業を推進してまいります。
また、当工業会では、食品機械の安全・衛生化の推進、国際化への対応、人材育成などに積極的に取り組み会員各位の経営力強化、事業の発展に向けて各種事業に取り組み、ユーザー業界の期待に応えてまいる所存であります。

昨年は新型コロナウイルス感染症でFOOMA JAPAN 2020は中止せざるを得ませんでした。本年は6月1日から4日間「発想力が食の未来を変えていく。」をテーマに、「Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)」で「FOOMA JAPAN 2021」を開催いたします。ウィズコロナ、アフターコロナの社会に対応した新たな発想力による食の技術の提案を通じて、食品産業の発展に寄与していく所存です。

最後に、当工業会は一丸となって、引き続き食品機械工業会の発展を通じて、食品製造業界の生産性向上、国民の食生活の豊かさに貢献してまいりたいと存じます。