軽油引取税の「当分の間税率(暫定税率)」は2026年4月1日から廃止されることが決定しています。
廃止までの措置として軽油に対する補助金が増額され、暫定税率が廃止された場合と同水準の軽油価格の引き下げ効果が実現される見込みです。
軽油価格が下がった場合、荷主や元請運送事業者などの発注者から実際の運送を担う事業者を含む運送受託者に対し、物流コスト削減などを理由に運賃の引き下げを求める動きが想定されます。
しかし、価格交渉では、これまで他の業種と比べて十分に進んでいなかったトラック運送業における構造的な価格転嫁を進め、物価上昇を上回る賃上げを継続するための原資を、確実に確保する必要性も考慮しなくてはなりません。
関係者の皆様におかれましては、2026年1月から新たに発荷主によるトラック運送契約の一部が、中小受託取引適正化法(取適法)の適用対象となることも踏まえ、取適法をはじめとする関係法令や、それらに基づいて作成された各種ガイドライン(「トラック運送業における適正取引推進ガイドライン」「各業種別の受託適正取引等の推進のためのガイドライン」「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針(労務費転嫁指針)」)を遵守し、適正な取引を徹底していただくことが求められます。
以上を踏まえ、改めて、燃料価格の下落に伴う不適切な取引の発生を防ぐため、以下の事項を要請します。
① 発注者(荷主や元請運送事業者等)に対する要請事項
- 燃料価格下落のみで一方的に取引価格を下げるのは法令違反の恐れがある
- 価格協議を無視し代金を決める行為も同様である
- 委託先や再委託先への運賃・料金が、物価や労務費上昇分を適切に転嫁しているか確認する
- 価格低減の必要性は慎重に判断する
② 運送受託者(実運送事業者等)に対する要請事項
- 燃料価格の下落によるコスト減に加え、物価や労務費等によるコスト増も考慮すること
- 経済の実態を反映した公表資料を基に自社の原価計算を行うこと
- 運賃・料金の引き上げ額を提示し、価格協議を実施すること
- 燃料価格の下落分だけでなく、他のコスト増も交渉に含めること
- 労務費転嫁指針の趣旨を理解し、遵守すること
- トラックドライバーの給与引き上げを適切に行うこと
燃料価格下落時におけるトラック運送業の適正取引の徹底について(要請)[国土交通省]
【啓発チラシ】適正な運賃料金での取引推進と独占禁止法によるダンピング行為の禁止[国土交通省]
2026年1月1日から、取適法の対象が特定運送委託まで拡大します。[公正取引委員会]

