
日本食品機械工業会
会長 大川原行雄
新年明けましておめでとうございます。令和8年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
さて、昨年の国内景気は、日経平均株価の5万円突破、設備投資の増加、そしてインバウンド需要の高まりなど複数の好材料により、回復基調で推移しました。10月には高市新総裁が誕生し、国内外への発信力が強化され、日本の新たな可能性も示されました。一方で、原材料費・物流コストの高騰や深刻な人手不足などが景気悪化の懸念材料となりました。国外の情勢では、トランプ政権の誕生による通商政策の転換が最大の不確実要素となり、トランプ関税の発動により、対米輸出の企業への影響は大きく、世界経済の成長率を下押しする懸念が高まり、また、ウクライナ紛争や中東情勢の地政学的なリスクも依然として高く、さらには日中関係悪化で不確実性増大、長期的な経済影響が懸念される等、世界経済は「試練の年」となりました。
こうした国内外の動向の中、我が国食品機械の販売額は、機種によって異なるものの全体では前年を上回る見込みとなっておりますが、原材料、エネルギー価格の高止まり、人材の確保といった困難な状況が続いており、企業経営に関しては多くの会員の方々が厳しい見解を持っておられます。
食品産業全体では、安全・安心な食品の提供はもとより、人口減少や市場変化を背景とした人手不足・労働力確保、生産性向上、省力化・自動化、食のグローバル化、食物ロス削減、地球環境への負荷軽減など、さまざまな課題に直面しています。
食品機械業界としては、持続可能な未来を見据え、産業基盤を維持・強化していくためには、食環境の現在を「転換点」として捉え、食品業界の潮流を的確に把握・分析し、自動化、省力化を含め、技術革新を一段と推し進め、食品産業界の新たなステージを切り開く役割を果たすことが必要です。
当工業会では、時代の潮流を見据えながら、国際市場での日本製食品機械の競争力向上を目指し、国際的な食品機械の安全・衛生化の推進、人材育成、SDGsなどに積極的に取り組むとともに、海外市場開拓に向けての会員企業支援やISO、EHEDG等国際機関との連携、海外ユーザー団体との交流を促進し、会員各位の経営力強化、技術力向上の支援に努め、業界の発展に向けて各種事業を展開していくことで、ユーザー業界の期待に応えてまいる所存です。
本年は6月2日から4日間「The Shift is On.」をテーマに掲げ、「FOOMA JAPAN 2026」を開催いたします。49回目を迎えるFOOMA JAPAN 2026では、海外市場の開拓を目指す食産業のニーズを捉え、国際的なビジネスチャンスの創出に取り組んでまいります。海外からの来場者数の増加に力を注ぎ、食産業のグローバル化を推進しつつ、出展社と来場者のつながりを創出する展示会DXへの取り組みと併せ、最高の展示会体験とビジネスマッチングを強力に推し進めてまいります。「食の安全・安心」という基本を堅持しつつ、AIやロボットなどイノベーティブかつ最新鋭の技術、製品・サービスの展示と併せ、サスティナブル社会の実現にも積極的に取り組んでまいります。
本展の開催を通じて、食品機械産業及び食品産業全体の一層の発展に貢献してまいります。
最後に、引き続き食品機械産業界の発展を通じて、食品製造業界の生産性向上、「食」に関わる国民生活の更なる向上への貢献とサスティナブル社会の実現に向け、努力を重ねてまいります。
末筆ながら皆様の益々のご活躍とご健勝を祈念申し上げます。

